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大学女子陸上競技選手の心身のコンデションの実態とその背景
第2報:「中長距離群」と「その他の種目群」の相違
2025年6月26日
近年、女性アスリートの活躍が目覚ましく、今後もその活躍が期待されています。
一方、トレーニング等によるエネルギー消費に対するエネルギーの摂取不足等が原因で生じる「相対的エネルギー不足(REDs)」とこの状態に起因する「無月経」と「骨粗鬆症」の三つの主徴(Female Athlete Triad)が懸念されています。心身の不調がある状況下では、競技力の向上を支える質の高いトレーニングの継続が難しくなるどころか、心身の健康を害し、人生にも影響しかねません。また、女性の心身のコンデションは、アスリートに限らず、社会における女性の活躍推進にも関係します。
本調査は、大学女子陸上競技選手の心身のコンデションの実態、またその実態に至る背景について検討し、トレーニングの現場で活用し得る情報を得ることを目的として、2024年度に日本学生陸上競技連合に登録する女子選手を対象として2024年11月の3週間にわたって実施しました。
調査の内容は、トレーニングに支障をきたす不調(オーバートレーニング症候群)と「貧血症」、「月経不順」、「骨粗鬆症」などの実態およびこれらに影響すると考えられるトレーニングと食生活の状況、不調に対する対策等についてです。また、学生生活の中での学業とのバランス、競技生活におけるハラスメントの状況、さらには卒業後の競技継続についてなど、大学生特有の内容も加えました。
今般、回答のあった1,081名(有効回答数1,067名)について、不調が深刻であることが明らかになっている「中長距離群」と「その他の種目群」の2群にて分析、検討しました。「その他の種目群」には、短距離、跳躍、投擲選手が含まれます。
本調査の結果が、トレーニングの現場において、選手および指導的立場にある方々の一助になれば、また、微力でも社会における女性の活躍推進につながれば幸いです。
なお、本調査は、日本学生陸上競技連合専務理事永井純氏の協力の下、各地区の学生陸上競技連盟の学生幹部にも協力を得て実施しました。
報告書
大学女子陸上競技選手の心身のコンデションの実態とその背景 第2報:「中長距離群」と「その他の種目群」の相違
ランニング学会「女性ランナーの諸問題」プロジェクト
代表
河合 美香(龍谷大学)
委員
井筒 紫乃(日本女子体育大学)
高橋 早苗(開智国際大学)
澤井 朱美(筑波大学医学医療系)
能瀬 さやか(国立スポーツ科学センター)
松生 香里(川崎医療福祉大学)
須永 美歌子(日本体育大学)
宮本 由記(豊橋まちなかウィメンズヘルスクリニック)
山中 美和子(ダイハツ女子陸上部)
藪下 典子(株式会社Magi アップテンヘルスサポート)
川原 貴(女性アスリート健康支援委員会)
伊藤 静夫(東京マラソン財団)
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